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Poem -Time Collection-

砂時計

さらさらさら

どこからか聞こえてきた気がして 耳を傾けた
何の音?

さらさらさら

どこから聞こえてくるのかわからない
かすかに聞こえる優しげな音
なのに心が焦るのはなんでなんだろう?

さらさらさら

両手で耳をふさいでみた
これで聞こえなくなる?

さらさらさら

耳元で聞こえる音
砂の流れ落ちてく、音
どこかで誰かがささやいた

さらさらさら
それはあなたの時間が落ちる音

はじけるように脳裏に鮮明な映像が浮かぶ
砂時計
落ちてく砂 絶え間なく途切れなくひたすら落ちていく砂
同じ速さで さらさらさらさら
とめられない
どんどんと時間が落ちていく なくなってしまう
まだなんにもできてないよ そんなに早くなくならないでよ
音に気づかなければどうということはなかったのに
目に見えて少なくなる砂に心が焦る
待って なくならないで
このまま時をとめてしまいたい
まだまだたくさんの時間がほしいの

さらさらさら
馬鹿ね ひっくり返せばいいじゃない

ああ そうか そうだった
だってこれは砂時計
近づいた くんと首を仰向けてそれを見た
そして 泣きそうになる
駄目だよ こんなのひっくり返せないよ 大きすぎるもの
天に届かんばかりの砂時計
砂の落ちる音がいつのまにかとても大きく聞こえていた
滝の落ちる音みたい
とても悲しくなりながら 落ちた砂をガラス越しに眺める

きらきらきら

この光るものはなぁに?
どんどんと増えていく光る砂
不思議だな 落ちる前は光ってないよ?

きらきらきら
それはあなたが一番よく知っているはず

わからないよ なぜ光るの?
なんの変哲もない砂 落ちて 光る砂になる
これはなぁに?
ガラスにぺったり手をくっつけて中をのぞきこんだ
光る砂 なにが光ってる?

きらきらきら
なにが見える?

見えるもの
どこかで見たことのある風景
どこかで知っている景色
ずっと覚えていた光景
これは───記憶?

きらきらきら
そう それはあなたの歴史
あなたが時と共に積み重ねたものたち
それはあなたにどう映る?

なんだかとても切ないな
でもね なんだかとても綺麗なの
落ちてくる砂
ここに昔のわたしがいるんだね
楽しかったことだけじゃないって知ってる
悲しいことも嫌だったことも後悔したことも たくさん
でもね やっぱりとても綺麗なの
一生懸命 光ってる

さらさらさら
どうしたい?この流れをとめたいなら壊してしまえばすむことよ

どうしたい?
いいえ、そんなのもったいない
そんなことしたらこの綺麗な砂がこぼれてしまうじゃない
もっともっと増やしたいの この砂を

さらさらさら

不思議だね
今はその音がとても小さい
またどこかへ消えていくのかな

さらさらさら

遠ざかってく
なんだったのかな いったい
でもね なんだかね とても気持ちがいい
まぶたの裏が白い まぶしい

光る砂 光る朝
新しい一日が始まる

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