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falling moon

禁断の白い息

冬でもないのに口から吐いた息が白い。
じんわり、手先がかじかんだ。
寒いわけじゃない。ただ、情けなくて。
そこに鍵をかけたのは自分。
そこに立ち入らないことを決めたのは自分。
けれど、自分の弱さに負けて深く、吸い込んだ。
忘れたはずの味。
けれど、身体が覚えてる。悦んだ。
肺の、奥の、奥まで。
灰色の空気、深く深く積もりゆくがいい。
身体を汚して、己への約束を踏み越えて。
それでも。

それで心が守られるから どうか許して。