Essay
家族
家族が一人、増えました。
血の繋がらない、だけど一番近くにいる家族。全然違う場所に生まれて、全然違う環境で育ってきた人。今一緒にいるのが、とてもとても不思議。
横浜に引越しをしたのは、この人がいたから。
引越しのことを書いたエッセイで、京都に対する以上の執着が横浜にはある、とわたしは書きました。それがこの人のこと。
家族。
書類上では、「夫」ということになる。人に紹介するときは、「主人」だとか「旦那」という呼び方になる。どれもまだ全然実感がわかない。自分の名前が変わったのも、なんだか実感がない。
自分たちが「夫婦」だというのも、なんとなく照れくさかったり。左手の薬指を見て、じわっと浸る、みたいな。役所で届けを出したときも、なんだか、あれ?という感じで。これでいいの?もう終わり?帰っちゃっていいの?って。
ちょっぴりじわわって実感きたのは、やっぱりドレスを着たときかな?白いウェディングドレス。初めてのフルメイクをして、写真を撮る。
生まれて初めての経験。
旦那のタキシード姿に見惚れたりね?(笑)
花嫁衣裳に包まれて、ちょっと感動なんてしてみたりしつつ、だけどなんだかおままごとをしているような感覚も否めなくて。
だって、あまりにいつもの日常と違う現実がそこにある。
そんな時間はあっけなく過ぎ去ってしまって。その余韻に浸るように手をつなぐ。自分の右手と旦那の左手。
なんだか違和感?
原因は、旦那の指にはまった結婚指輪。
本人も違和感ばりばりの顔してる。つけ慣れないものだからね。だけどその違和感に、やっぱりちょっぴり実感を感じたり。
これからずっとこの人と歩いていくんだなぁ、って。
この手を頼っていいんだなぁ、って。
そう思って、幸せになる。
不安はたくさんあるし、戸惑いもあるし、考えなくちゃならないことも、たくさん。
いろいろな心配や苦労をかけちゃうんだろうなって思うけど。
自分で決めた道だから、笑顔で歩いていきたい。
後悔があるとしても、それが前へ進むことにつながるように。
失いたくないものがある。
それはとても怖いこと。だけど、とても尊いこと。
自分を強く、してくれること。
今の気持ちが褪せないように、いつまでも新鮮でいたいな。
くたびれた夫婦にはなりたくない。
お互いの存在に慣れて、お互いのことを知り尽くしたように思えても、そんなことは絶対ないんだから。
いつまでも、新しい発見が尽きないように。
相手を見つめることを忘れぬように。
今のこの想いを心に刻み付けて。
新しい一歩を、踏み出す。
明日も、あさっても、その先もずっと。
一緒に歩んでくれる人がいる。
その幸せをかみしめながら。
(2000/12/22)